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ストレスチェック制度の目的と意義

2015年12月からストレスチェックの実施が義務になります

2015.11.18


(出典:厚生労働省 ストレスチェック制度 リーフレット

2015年12月から実施が義務化される「ストレスチェック」。COMPASSでは、ストレスチェック制度についてわかりやすく整理してお伝えします。(編集部)

第1回 制度の概要と背景

2015年12月1日から、改正された「労働安全衛生法」が施行されます。

これにともない、従業員50人以上の事業場では、従業員に対する「ストレスチェック」の実施が義務化されます。50人未満の場合は努力義務ですが、いずれは全企業に義務化されると言われています。従業員が100名の会社でもその事業場で働く従業員が10名であれば、そこは50人未満の事業場となります。

(1)ストレスチェック制度の概要

ストレスチェックとは、心理的な負担の程度を図るための検査です。医師や保健師が「実施者」となり、仕事の量や心の感覚、身体的な疲労などを質問してストレス状況を診断します。「高ストレス」と判断された場合は、本人の申し出により医師との面談などを行い、予防や対策を進めます。

通常の健康診断とは異なり、事業者は診断結果を本人の承諾なしに知ることはできません。結果が会社に知られることを恐れて正確な回答をしなければ意味がありませんし、結果を人事や査定に活用することは禁じられています。

(2)制度の背景を考える

労働安全衛生法は、快適な職場環境の実践を目的の一つとした法律です。危険な作業により健康障害を起こさない措置や安全衛生管理の体制づくりを規定しており、健康保持増進のための指針の中に、2006年からメンタルヘルス対策が登場しています。

長時間労働や、パソコンと向かい合う時間が長い業務、成果主義によるプレッシャーなど、仕事の中でメンタルの不調を訴える従業員、表には出ていないもののメンタルの問題が根底にあり仕事に支障が出ている従業員が増加しています。

そこで、「心の健康診断」を行い、改善活動を進めて快適な職場環境をつくり出すことが必要になってきたのです。

(3)ストレスとは?

そもそも「ストレス」とは何でしょうか。

生活の中で、それまでより強いプレッシャーを受けたときに感じるもの、と考えて良いと思います。

ストレスはすべてがマイナスに作用するわけではありませんが(プレッシャーにより、最大限能力が発揮できたなど)、あるレベルを超えると心身に「ストレス反応」を引き起こします。

ストレスのモデル

ストレス反応には下痢や頭痛などの「生理的反応」、不安や意欲低下などの「心理的反応」、睡眠障害やミスの増加といった「行動的反応」があります。これらは疾病につながる可能性があります。

同じストレス要因があっても、個人の違い、また周囲に緩衝要因となる人がいるかどうかでストレス反応は変わってくると言われています。年齢や遺伝的特徴の違い、職場に相談したりサポートしてくれたりする人がいるか否かなどにより、ストレス反応が起きる程度は一律ではないのです。

つまり、「うちの会社はストレスがたまらないようにしているから大丈夫」と思っていても、一人ひとりの状況はさまざまです。心身が健康である経営者・管理者は、とかくストレス反応がある人を「弱い人だ」「自己管理が足りない」と見てしまいがちです。

ストレスチェック制度は、他人は自分と同じではなく、さまざまな個人がいることを理解して、それぞれが健康でストレスを乗り越え、職場で力を発揮できる環境づくりのための制度なのです。

次回は、ストレスチェック制度の具体的なプロセスを解説します。(更新予定は11月30日です)


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