COMPASS 2012 冬号

耳よりモバイル 2 台持ちより1つを有効利用!?BYOD個人端末の業務活用 page 17/44

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昨年後半からIT業界でにわかに注目を集めるようになった言葉にBYOD(BringYourOwnDevice)がある。従業員が個人で利用している情報機器を会社の業務でも活用することを意味する略語だ。米国....

昨年後半からIT業界でにわかに注目を集めるようになった言葉にBYOD(BringYourOwnDevice)がある。従業員が個人で利用している情報機器を会社の業務でも活用することを意味する略語だ。米国では数年前から活発化しているこの動きが、日本にも波及してきたのだ。トリガーとなったのが、昨年来急速に進んだスマートフォンやタブレット端末の普及である。個人が日常的に持ち歩くこれらのデバイスは処理速度や機能はPCに近く、企業の業務端末として十分に使えるレベルにある。そこで、むしろ従業員サイドから、使い慣れた自分のデバイスで効率的に仕事をしたいというニーズが出てきた。企業はセキュリティ上の懸念などから私物デバイスの業務利用には慎重だったが、最近ではこれを生産性の向上に積極的に活かそうとする傾向が強まりつつある。■端末にデータを残さない私用のものを使えるなら会社の経費削減に貢献しそうであるが、BYODを本格的に導入するには、結構大がかりな環境整備が必要となることが多い。日本でのBYODの事例は、現在のところ個人のスマホで会社のメールを利用したり、スケジュールの登録・参照をするなど比較的単純なものが中心だ。これらは基本的には自宅のPCなどからの利用を想定して構築されているリモートアクセスシステムで対応できるが、従業員の多くが私物スマホでメールを使うようになれば、当然設備増強が必要となる。タブレット端末をBYODで利用する際は別の角度での対応が求められる。モバイル通信機能やLANポートを持たない機種が大半なので、オフィスで利用する際に無線LAN環境の整備を必要とすることが多いのだ。この場合は社内ネットワークに直接入ることになるので、デバイスを識別して必要なアクセス権を設定するなどの仕組みが必要となる。これらは、ネットワーク分野で事業を展開する無線LANベンダーがBYODソリューションとして力を入れている分野だ。タブレットやスマホは紛失などの危険性が高くなるため、業務上の重要データを扱う場合は、情報が手元で見えるが保存は会社のサーバーに行う「リモートデスクトップ」など、端末側にデータを残さない仕組みが望ましい。これ以外の場合でも、個々の端末の運用状況を記録し、紛失時には端末のロックや消去を実行するなどの機能を持つMDM(MobileDeviceManagement)と呼ばれるシステムの導入は不可欠となる。■まずスマホでのメール利用から中小・中堅企業におけるBYOD導入では、当面は従業員のニーズが高い電子メール/スケジュールのスマホでの利用をターゲットとするのが現実的だ。オフィス内でもモバイル回線を使えば設備投資は最低限で済む。BYODを導入する際には、従業員との間で、事前に端末にMDMのクライアントを導入することや万一の情報漏洩事故発生時などに端末内のデータを確認できるなどの合意を取っておく必要がある。導入を円滑に進めるには、デバイスを提供する従業員へ一定の対価を支払うことも有効な手だてとなりそうだ。142012.冬号ICT通信ジャーナリスト藤井宏治2台持ちより1つを有効利用!?BYOD?個人端末の業務活用2台持ちより1つを有効利用!?BYOD?個人端末の業務活用業務で使うモバイル機器は会社が法人契約して支給するのが一般的だ。しかし最近では、スマートフォンを2台持たないで運用する方法も利用されつつある。メリット・デメリットを理解しておきたい。