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筆ペンの営業を支援! スマホから在庫システムにアクセスする方法

株式会社呉竹

2015年 春号 2015.05.13


書道液に筆ぺん──あっと驚く商品で書道市場にイノベーションを起こしてきたのが奈良県奈良市に本社を置く呉竹である。
奈良の伝統産業である墨(固形墨)づくりで113年の歴史を刻むが、墨業界では「新しい会社」だという。

社名 株式会社呉竹
・イギリス「KURETAKE U.K.」
・米国「Kuretake ZIG Corporation」
所在地 奈良県奈良市南京終町7丁目576
設立 1932年(創業1902年)
従業員数 259名
事業内容 墨、書道液、書道用品、書道セット、水墨画用品、絵てがみ・水彩スケッチ用品、筆ぺん、マーキングペン、カリグラフィーマーカー、店頭サイン用品、スクラップブッキング用品の製造、販売および輸出入
URL http://www.kuretake.co.jp/

現在、手作りする墨の売上は全体の1%ほど。主軸は筆ぺんやクラフトマーカーなどの筆記用具に移っている。ペン先・筆先の形状や色のバリエーションが豊富で、大手に真似できない1万に上る多品種展開が強みだ。さらに固形墨のカーボンの技術を利用した事業も手がけるなど、固定概念にとらわれず商品開発を行っている。

呉竹 代表取締役社長 綿谷昌訓氏

代表取締役社長 綿谷昌訓氏

「世の中は常に変化しています。『新しいものを積極的に手がけていかなければ』という危機感を持ち、得意分野の周辺を掘って事業を展開してきました」
6代目社長の綿谷昌訓氏は経営マインドをこう説明する。

呉竹では技術職の社員が提案営業を行ったり、社員全員が自社商品の売上目標を持つなど、ビジネス感覚の養成や能力開発を心がけている。2008年に事業所内託児所を設置してからは女性の勤続年数が向上し、ノウハウの蓄積がしやすくなった。人材力は事業展開のエンジンでもある。

呉竹「筆ペン」「ルナブラッシュ」

アナログ市場の追求にはデジタルを徹底活用

株式会社呉竹イラストITの普及で、手書きの機会は減少している。市場の状況はどうなのか。
「筆ぺんの売上は3年前に底を打ち上昇傾向です。気持ちを伝えたり思いを託したりできる自筆文字には固有の良さがあります」と綿谷社長。デジタル化が進むにつれ、アナログの価値が再認識されているのだ。最近の『美文字』ブームはその一例だろう。
同社はアナログ的な市場の追求とは裏腹に、業務においてはデジタル=ITを積極活用し、生産性向上を図っている。

社内には情報管理部が置かれ、6名のメンバーが情報システムの企画・構築・運用を推進している。
「システム化による変革の余地は大きい。“機械の操作支援”ではなく、会社が儲かるためにどんな仕組みが必要かを考えてもらっています」と綿谷社長は力を込める。

奥田昇一氏

情報管理部 システムチームリーダー

奥田昇一氏

情報管理部は奥田昇一氏をシステムチームリーダーに、基幹業務システムを自社開発。Web会議システムや携帯電話など通信分野も合わせ、IT活用を推進している。
そして2014年4月からは、内勤者も含む社員80名が「iPhone」の利用を開始した。

iPhoneを社内端末に基幹システムへの接続も実現

きっかけは営業担当者から「スマートフォンの便利な機能を仕事でも使いたい」との声だった。それまで、携帯電話とノートパソコン、データ通信用のモバイルルーターを持ち歩いていたが、3点セットは荷物になるうえ、隙間時間に手軽に情報活用できる仕組みも望まれていた。
「以前からスマートフォンの活用は検討していましたが、通信事業者からデータ通信のコストダウンや端末間の通話無料などの提案が出され、費用面でのハードルが下がったことで導入を決定しました」と奥田氏は振り返る。

外出が多い営業担当者に限らず、スマートフォンを内線端末のように、そしてパソコンがない部屋にいるときの情報端末として活用。営業支援システム(SFA)や社内ポータルサイトもiPhoneから使えるようにした。
さらに、iPhoneのWebブラウザからホストコンピューターの画面を閲覧し、在庫確認などを行える仕組みも作り上げた(アクセスの際は、セキュリティに配慮し、VPNを利用)。

スマートフォンからの商品番号入力を簡素化するために検討中のバーコードリーダー

ノートパソコンに代わり隙間時間での情報活用も

導入後は、「情報へのアクセスが早くなり作業効率が上がりました。加えて、SFAの入力データや個々人のスケジュールは社内外を問わず、いつでも閲覧できるので、社員間の情報共有も進みました」と奥田氏は話す。営業担当者のスマホからの報告を社内会議を追えた上長がスマホで確認する、といった場面もしばしばあるという。
基幹業務システムの活用は画面に表示される情報が煩雑なこともあり本格的な活用はこれからだ。商品コードの入力を簡便にするため、iPhoneに接続するバーコードリーダーの実機検証も行っている。
現場の状況を良く理解し、改良を重ねられるのが社内でシステム開発を行う強みである。
「各部門の担当者と膝を突き合わせて考え、効果を直接確認できるところが中小企業のSEの楽しさです。さらに経営に役立つ部門になっていきたい」と奥田氏は目を輝かせて決意を語った。
今後は製造現場や倉庫など、社内でパソコンが設置できない場所でのモバイル活用なども検討していくとのことだ。

呉竹の基幹業務システムとスマートフォンからの情報活用

呉竹は、2014年度の関西IT百撰に選ばれました。


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