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人材育成に力を入れる会社のタブレット・スマホ活用

2015年 春号 2015.05.13


現場で使える便利なITとして企業の大きな武器となるタブレットやスマートフォン。メリットとデメリットのバランスを取り、真に効果を上げるには、どうすればよいのだろうか。今、問われる活用姿勢を探求する。

日本におけるスマートフォンの世帯普及率は60%を超え(「平成26年版情報通信白書」)、ある通信事業者からは、「タブレット・スマートフォンの法人への普及は一段落した」という声すら聞こえてきた。

しかし、行き渡ったことと、利用して効果を出すことはイコールではない。我々が考えるべきは、もちろん後者だ。
最近の中小企業向けモバイル活用セミナーに足を運ぶと、参加者の多くはタブレットやスマートフォンをすでに所有しているが、「使いこなせていない」と悩みを口にする。

モバイルに使われる!? 問われる経営者の対応

そして便利さの一方、「違和感」も顕在化してきた。

「個」の端末であるモバイルは、「社員が何をしているのかわからないので管理者として困る」「目の前の人よりスマホに夢中になっている人たち、大丈夫か」「多数の情報に流されていないか」など、漠然とした不安感を抱かせている。
 本誌の読者アンケートにも、このような意見が寄せられており、自信を持って活用を推進できない陰の一因になっているともいえよう。

様々な情報を手元でパソコンより簡単に扱え、ビジネス現場を豊かにするタブレット・スマホ。このメリットを本当に手にするためには、何を乗り越えればよいのか。
この疑問を、本誌が2013年に発行した書籍『会社を伸ばす タブレット・スマートフォン』の著者陣に問いかけたところ、次のようなコメントが返ってきた。

「スマホでゲームばっかりやっているか、便利な辞書として使って、さらにそこからもう1歩自分の頭で考えて活用できるかの違いは、時間が経てば知の格差を広げるだろう」という議論があり、私もそう思います。
ITは情報を素早く検索するところまでは優れていますが、見ただけで「わかったつもり」になってしまう「壁」があります。
情報を整理・分析し、自分なりの意見を持つ力、つまり考える力をどこで養うかは、社会の課題であるともいえます。(談)
ナーツ 代表取締役
野中栄一氏

モバイル端末とインターネットは、ヒトを時間と空間の制約から解き放ち生活をガラリと変えました。生活を豊かにする一方、翻弄される人も出てくるでしょう。ただ、これはツールが根本的な原因ではなく、状況が強化・加速されたにすぎないといえます。デメリットだけ考えて利用環境を封じ込めず、活用方法の普及や情報をまとめる技術の向上を行っていきたいものです。(談)
NBIコンサルティング 代表取締役
本田秀行氏

原点に立ち返ってみましょう。道具はあくまでも「何か」をするためのツールです。社員がもし「情報に流される人」になっていたならば、「その何か」にあたるテーマが提示されていないからといえます。
社員がモバイルなどを道具として使いこなさざるを得ない「お題」を創出することは、IT経営に必要な一つの要素となってくるでしょう。(談)
トゥモローズ 代表取締役
堀明人氏

便利なツールを使いこなすには、情報分析力や考える力の養成、そのための機会づくりが欠かせないとの指摘だ。
これを裏付けるのが、本特集のモバイル事例として紹介する石川県・松本、奈良県・呉竹の2社である。いずれも、社員の対話力、知識、考える力こそが会社の基盤であると認識し、人材育成や意欲を高める目標設定などに取り組んでいる。モバイル導入はその方針の中に位置づけられている。

「簡単・便利」の先に自社らしい経営がある

ITサービスを提供する側にも、このテーマに着目し、動き出している企業がある。
汎用的なモバイル端末で飲食店のオーダーを管理できるサービスを提供する兵庫県神戸市のエムトーンだ。社長の永田祥造氏はITコーディネータの資格も持つ。

エムトーン・永田祥造氏へのインタビューはこちら

使いやすくなったモバイルのメリット・デメリットと自社の方向性について「ITが簡単になりすぎて、むしろリテラシーが下がる現象が起きています。簡単さの先に、考える機会を創出すること、人間的な部分の支援──『人財』育成が、これからの我々のテーマです」と力説する。

道具自身のメリットを理解したうえで、使う目的、使い手である社員の成長像、得られた情報の活用方針を明確化していくことが、真に効果を上げる方法といえるだろう。
まさに一樹百穫──これまで以上に人材の育成が経営の要になっていく。

さて、今、社内に「考える社員」は何人いるだろうか。進化したモバイル機器の威力を引き出すのは「考える社員たち」である。


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