いざというときに各地を守る防災アプリー青梅商工会議所
2016年 夏号 2016.09.09
いざというときに使える仕組みを
「防災 め組シリーズ」で各地を守る
「防災 め組シリーズで危機管理の推進を」──東京都西部にある青梅商工会議所は、中小企業支援に注力する傍ら、所内に高度なスキルを持つシステム技術者を有して、システムやアプリケーションの開発・販売(IT事業)にも取り組んでいる。
防災アプリ3種を開発
青梅商工会議所が外販を意識して開発・商品化したものが、スマートフォン対応の災害情報支援サービス「め組 シリーズ」である。現在、消防団向けの火災情報提供アプリ「FIRE CORPS め組」、ハザードマップ表示と災害情報通知機能を備えた一般市民・自治体向けアプリ「HAZARD MAP め組」、企業を対象とした災害時の安否確認・危機管理アプリ「BCP め組」の3種類をラインナップしている。
3年前にリリースした第1弾の「FIRE CORPS め組」(本誌2014年秋号)は、他の自治体の消防団にも導入され、すでに8000近いユーザーを獲得している。スマホ対応のアプリで情報のプッシュ配信や地図情報の活用を実現し、クラウド型のシステムとすることで運用面の安定性も向上させた。
会議所のBCP支援を後押し
「FIRE CORPS め組」を紹介する中で要望を得て生み出されたのが2シリーズである。
「HAZARD MAPめ組」は、スマホアプリから利用登録をすると、自治体が提供するハザードマップを画面上で閲覧でき、災害発生時には「Lアラート」(災害情報共有システム)との連携により、端末の位置情報をもとにした危険区域や避難場所などの情報もプッシュ通知で受け取れる。災害の内容に応じて的確な判断をサポートする。
ハザードマップを所有する各自治体の認知度向上を図り、全国へと広めていきたい考えだ。
一方の「BCP め組」は、名古屋商工会議所が実証実験を行っていた安否確認システムの悩みを聞いたことから開発が進んだという。
システム開発・運用の豊富な経験を有する同会議所・事業部(情報センター)部長の山崎克己氏は「『FIRE CORPS め組』を開発した背景と同様、確実に通知する仕組みの部分が課題でした。そこで我々が安否確認サービスのベースとなるシステムを開発し、名古屋商工会議所に提供することにしたのです」と話す。開発に約1年半をかけ2016年4月に稼働を開始。名古屋商工会議所では、「名商安否確認アプリケーション」の名称で会員企業向けに有料でサービス提供し、すでに十数社の契約実績をあげている。
機能としては、スマホにプッシュ通知した画面の操作で従業員から企業側への安否連絡や位置情報の通知ができるうえ、スマホを持たない人も考慮して携帯電話端末でもメールを用いて同様のやり取りが行えるようにした点が特徴。また、テンプレートを用いて防災マニュアルを作成しWeb上で登録・管理できる機能も搭載した。
「BCP め組」の導入対象は、まさに商工会議所の会員である中小企業がメインとなる。山崎氏は、「全国の商工会議所が会員企業向けのBCP支援ツールとして積極活用してくれれば」と期待する。他の支援機関や法人会、個々の企業からの引き合いにも積極的に応じる考えだ。