ペンだからつながる! 高齢者と家族・地域①
付加価値アップ・商品開発介護・保育20人以下IoT・位置情報
2016.02.16
使うのはペンと専用紙。
高齢者がペンで意志を書くと、その内容が家族やサービス先に通知される。タブレットやスマホなどの情報機器の扱いに抵抗がある高齢者等の見守りや買い物支援の新しいサービスが考案された。バックグランドで動くのは、クラウドサービスとIoTである。
長野県の軽井沢IT経営センターが運営する、高齢者見守りシステム「ココカルネット」は、利用者、家族、サービス提供者それぞれが負担を軽減しながらネットでつながりアクションを起こす「意志通知」プラットフォームである。
具体的なサービスとしては、まず、(1)高齢者の健康状況を家族に伝える見守り用途、(2)買い物代行用途 に活用される予定である。
では、利用者視点から、手順を紹介しよう。
書くだけでよいから利用者の負担減
必要なものは、専用用紙とペン、充電器を兼ねたペン立て、そして通信機器である。利用者が意識するは前者二つである。
(1)健康管理の例
一人暮らしの高齢者の健康状態を家族が見守るケースでは、利用者である高齢者が自分の体調についてチェックリストに回答。気になることがあれば、「頭痛がする」「腰が重い」「時間があるとき電話ください」など自由に記載することもできる。
記入が終わったら、シートの「送信」欄をペンでチェックする。利用者がすることはこれで終わり。
送信欄がチェックされると、記入した内容は自動的にデータとして送られ(利用者側は画面をタッチするなどIT機器の操作はない)、家族への連絡メールが配信される仕組みだ。
書いた内容がなぜわかるかは、用紙とペンに秘密がある。肉眼ではわかりにくいが、この用紙にはドットが印刷されており、各ドットが座標軸上の位置情報を持つ。
文字を書くときにペンがどのドット上を動いているかによって、回答内容や記載した文字、「送信」の意志が把握できるのである。
データはサービス会社のクラウドサーバーに保存され、契約内容との照合により、連絡先家族へ必要な情報が送られる。
(2)買い物代行の例
軽井沢IT経営センターでは、「ココカルネット」を買い物代行サービスのプラットフォームとしても活用していくという。地域では、一人暮らしの高齢者などに買い物困難者が増えており、買い物代行依頼に、この仕組みを使ってもらおうと考えた。
地元商店が扱う商品をリスト化し、案内を対象者に配布。このなかから必要なときに必要なものを選んで記入し、「送信」(チェック)すると、注文情報が届く。軽井沢IT経営センターのサービスでは、該当商品を商店から購入し、代行手数料を得る予定である(商品の価格は販売価格のままとしている)。
ネット販売のように、商品を検索し、選んで数量を入力する操作がいらず、ほしいものをペンで書けば注文できる。用紙は依頼者の自宅に残るので、電話のような聞き間違い、注文した・しないの行き違いを防げるメリットもある。
軽井沢IT経営センターでは、見守りサービスと買い物代行サービスを軸に、地域でサービス展開を進めていく。 他地域で事業展開したい企業・団体向けにプラットフォームの提供もしているとのことである。
株式会社軽井沢IT経営センター
高齢者見守りシステム「ココカルネット」
http://www.kokokarunet.com/