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ペンだからつながる! 高齢者と家族・地域②

ココカルネット 専用ペン

2016.02.23


ペンだからつながる! 高齢者と家族・地域(第1回)に続き、ココカルネットのサービス開発について、その背景をご紹介。

「ココカルネット」開発の背景を高見社長にインタビュー

高齢者見守りシステム「ココカルネット」の発想がどこからきたか、またサービス開発の背景は? 株式会社軽井沢IT経営センターの高見康昭社長にインタビューした。

軽井沢IT経営センター 高見康昭社長(ITコーディネータ)

軽井沢IT経営センター 高見康昭社長(ITコーディネータ)

中軽井沢駅前のくつかけテラスにて、地域の専門家と「iCafe」を運営。地域の人々のIT活用やパソコン相談を行っている。日商PC検定の受験会場でもある。

(以下、文中敬称略)

最先端のITを利用者に合わせることで普及する

──端末を「ペン」にしたのは驚きました。高齢者向けサービスでは、タブレットを端末にする事例は増えてきていますが…。

高見 地域の高齢者の方々の見守りや買い物代行、健康管理サポートを行う際、どんな仕組みなら良いのか、簡単にコミュニケートでき、サービス側も効率良く動ける方法はないかと考えてきました。
タブレットは操作しやすいIT機器ですが、それでも高齢者の方々にはハードルが高い。 でも、ボールペンで紙に書くならだれでもできるよね、と。

──IT機器に合わせてもらうより、利用者に合わせる?

高見 はい。最先端の技術を使いながらも、利用者の一番低いスキルレベルに合わせることが大切だと思います。ITベンダーはとかく今あるシステムを使いたくなり、ペンで書くなんて「原始的だ…」とおっしゃいますが、高齢者の支援は医療と同じで、間違いがあってはいけないですから。

──簡単さという点では、電話注文というさらに原始的な方法もあります…。

高見 確かにそうですね。ただ、24時間電話受付をするには専任の受付担当が必要です。さらに、お一人と長い話になると他の方の電話は受けられず、トータルでのサービスコストが上がってしまいます。
また、電話は記録が残らず「言った」「言わない」というトラブルを起こしやすい懸念もあるのです。

──ココカルネットでは記入用紙が書いた利用者側に残りますから、わかりやすいですね。

孤立する高齢者がITの効用を受けられるように

──この仕組みに決定するまではどのような道のりでしたか。

高見 軽井沢で地域活性化事業をしようと、2年前に位置情報と連動して観光案内を届ける「ココカル」サービスをスタートしました。
ここからご縁が進んで、社会福祉協議会が行っている高齢者へのお弁当配達をお手伝いするようになりました。実は私もそうですが、軽井沢は東京をはじめ他地域からの移住者が3分の1います。そうした方々は配偶者が亡くなり一人になったときに孤立しやすい背景があります。
今はどの地域でも介護施設が足りず、サービスを受ける基準も厳しくなりますので、地域における民間サービスが欠かせません。
すでに、お弁当配達のために車を所有し、地域を回っていますので、ここに買い物代行や生活サポートを加えてサービスを充実させていこうという考えています。

──地域を巡回している基盤が生きてきますね。 ところで、特殊なペンを使った技術面はどこから?

高見 以前行われた関東経済産業局主催の農業ITのイベントで、アノト社が提供するこのペンと出会いました。
ペン先の上部のトンネルのようなところにカメラがあり、シートのドット位置を読み込んで書かれた内容を把握します。シートもいろいろなパターンが作れるので便利です。

──手書き文字を認識するので高齢者側はタッチ操作など、ITを意識しなくてよいのですね。

高見 記入用紙はクリップボードに挟み、ペンは専用のペン立てに置いて、「朝起きたらチェックしてね」「連絡したいことがあったら書いてね」と言えばよいのですから、誰でもわかる。「IT難民」でもITの効用を受けられるシステムなのです。

軽井沢──買い物代行では、地域のお店の商品を扱うそうですね。

高見 町の商店にお金が回ることも狙いですから、大手スーパーから届けてもらうのでは意味がない。そもそも大手スーパーの配達はまとめ買いが前提でしょう。
「ココカルネット」の買い物代行サービスは、私たちの車が地域を回っていることを活かし、少量の買い物に対応できることも特徴の一つです。お店も協力的ですので、町の活性化につなげていきたいと思います。
今後は、地域内のサービスを充実する一方で、このプラットフォームを使って地域支援を行いたい他地域の方々と連携を深めたいと考えています。

(インタビュー:COMPASS編集部)

 

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