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タブレット受付システムがなぜ事業を伸ばすのか<IT活用事例>

洋服のお直し事業を展開するビック・ママ

2016年 春号 2016.07.19


*記事紹介後の7月28日、記事中の「コンビニエンスストアとの連携」がついに発表に。
 記事の最後に詳細情報を記載しました。(編集部)

 

代表取締役 社長 守井嘉朗氏株式会社ビック・ママ 代表取締役社長 守井嘉朗氏

 

 

事業を牽引するタブレット受付システム
ITの内製化で構想をスピード実現

ビック・ママ

洋服のお直し受付にタブレット。理由は従業員が迷わず安心して接客でき、本部での注文把握もリアルタイムになるため――本誌2014年春号に掲載した洋服のお直し・ビック・ママ。2年後の現在、同社はシンガポールへの進出を果たし、保育園事業、そしてIT事業へと事業領域を拡大している。

 

スマートフォン向けのビック・ママアプリ。

スマートフォン向けのビック・ママアプリ。サービス紹介と店舗検索、クーポンの発行などを提供

今春から、IT部門をつくり、タブレット受付システムの運用とバージョンアップは自社で行う体制に転換。守井嘉朗社長は次のように事業構想を説明する。

「描いたシステムをスピード感を持って作るには内製化が一番。これを横展開してIT事業としての収益も上げていきたい」

会社名 株式会社 ビック・ママ
所在地 宮城県仙台市青葉区北目町6-6
東京オフィス、シンガポール現地法人
設立 1993年
従業員数 272名(パート含む)
売上高 14億5000万円(平成27年5月期)
事業内容 洋服お直し、小物や靴の修理、IT事業、保育園経営他。
国内72店舗、海外は6店になったシンガポールに加え、ベトナムでも展開予定
URL http://big-mama.co.jp/

タブレットに最適化 さらに他社への販売も

同社のタブレット受付システムは、直しをする個所(袖、裾など)や内容(詰める、広げるなど)、素材などによって枝分かれする受付をスムーズに進め、注意事項を間違いなく顧客に伝えられるように開発したものだ。

海外展開に伴う英語対応、レジとの連動を済ませ、現在は画面遷移を改良するバージョンアップ中である。「タブレットではパソコンのように1つの画面にたくさんの項目を入れず、1ステップ1画面のほうが使いやすいと気づいた」(守井社長)ことから、タブレットに最適化させる。

ビック・ママのシステム

さらに、AI(人工知能)を活用したマッチング機能の開発にも着手した(下部インタビュー参照)。

この受付システムは、お直しを扱うクリーニングチェーン店に導入されることが決まった。今後はIT部門の事業としてこのような同業者への販売を進めていくという。

ノウハウが詰まったシステムを他社に提供すると競争上不利にならないのか。守井社長は、事業のカギは人にあると考えている。

「店舗の売上を左右するのは接客なのです。どんなITを入れようともそれ自体は大きな違いにならないでしょう。接客レベルを上げ生産性を高めて高い給料を払えるようにする。ここで差をつけていくつもりです」

お直しを受け付ける際に知っておきたい知識を設問形式で学べるeラーニングの仕組み(スマートフォン画面)

お直しを受け付ける際に知っておきたい知識を設問形式で学べるeラーニングの仕組み(スマートフォン画面)

同社は、従業員のスキルアップにも積極的にITを取り入れている。

一つは、お直しの知識や、受付の際に顧客に伝えるべき注意事項などをQ&A形式で学べるeラーニングシステムである。

タブレット受付システムを作った段階で、作業ツリー(直しの種類による枝分かれ)300〜400カ所に対応する注意事項はすでに整理されている(例えば「スラックスを6センチ以上詰めると形が変わる」)ので、これをもとに教材を作成した。スマートフォンやタブレットで学ぶことができる。

動画でお直し技術を学ぶ。言葉は日本語でも、海外のスタッフに伝わるという(スマートフォンでの再生中画面)

動画でお直し技術を学ぶ。言葉は日本語でも、海外のスタッフに伝わるという(スマートフォンでの再生中画面)

また、お直しの実務については、動画による解説を制作してスキルアップに活用している。

人が働きやすい環境をつくり、バックヤードの生産性を上げ、商売のポイントに人の力を投下する――「人とITの適材適所活用」はビック・ママの強さを形造っている。

 

 

 

【 守井社長インタビュー 
    キーワードは、「サクサク」「不満足の解消

(文中敬称略)

シンガポールにあるSINGAPORE TAKASHIMAYA店にて

シンガポールにあるSINGAPORE TAKASHIMAYA店にて。

──システムの内製化は大きな決断ですね。

守井 今まで何をやっていたのかと思うほど、内製化は良いです。ITを使うアイディアはたくさん出てきますが、構想をITベンダーに話すとキョトンとされることが多かった。社内にSEがいると検証のスピードが違います。

──AIを利用するというのはどんな使い方ですか。

守井 受け付けた仕事と作業者のマッチングです。現在、お直しの内容や難易度によって誰が作業するかを人が手配していますが、1年間の振り分けパターンを学習させることで、自動振り分けができるのではないかと。実現すれば、受付の時点で作業者や納期まで決められ、手配する人は例外対応だけ行えばよい。このマッチングシステムは、秋口のトライアルを目指しています。

4月から新しくなったロゴ入りのiPad

4月から新しくなったロゴ入りのiPad(写真提供:ビックママ)

──システムに新たな価値が加わることで生産性が上がりますね。

守井 その他にも、このシステムを使った新しい事業があります。あるコンビニエンスストアと連携し、お直しの受付をコンビニでもできるようにします。ネットでお直しの注文を受け(または店舗で受け)、直す洋服をコンビニに持ち込んでいただくのです。

──夜間などに持ち込めるので便利ですね。

守井 スマホで申込み・決済できますし、スピーディです。今は、「サクサクできる」がキーワード。取り組んでいるタブレット受付画面の改良も、AIによる作業者の自動手配も同じです。Webサイトも「サクサク」と近くの店舗を探していただけるよう、改善します。

──次々とアイディアが出せる秘訣はなんですか。

守井 難しい質問ですが…いつも「不満足の解消」に努めていることでしょうか。アンテナを張ってITのトレンドを見ているときに、「この技術でこんな解決はできないか」とアイディアが浮かびます。
お直しの事業にITというバックボーンが加わり、次々と不満足の解消に使えるのは楽しい。さらに面白い展開ができればと思います。
(以上)

 

<最新ニュース> 追記 2016.08.25
ファミリーマート店舗で「24h洋服お直し便」スタート

2016年8月2日から、守井社長が上記インタビューで「予告」していた「コンビニエンスストア」との連携が実現!

コンビニエンスストア「ファミリーマート」にて、ビック・ママの洋服や靴・バッグ等のお直し承りサービスが24時間受付可能となった。まずは宮城県仙台市内の120店舗にてスタートし、その後、全国展開を予定している。

コンビニに洋服を持ち込んでズボンの裾上げなどをしてもらえるのは便利。
流れは次のようになる。

   ①ファミリーマートで専用袋を入手
   ②ビック・ママのホームページで申し込み
   ③ファミリーマートに持ち込み・受付(ファミリーマートがビック・ママへ発送)
   ④ビック・ママがお直し
   ⑤完了をメールで連絡(ファミリーマートへ配送)
   ⑥ファミリーマートで受取

店舗が遠かったり、残業等で営業時間に間に合わないという顧客も、
家の近くのファミリーマートへ24時間いつでも持ち込み・受取ができ、利便性が高まる。

ビック・ママは受付窓口の拡大により、店舗を増やさずに売上拡大が見込める。

コンビニは、来店機会を増やすことができる。

受付のノウハウをわかりやすく整理し、受付データを一元管理できるお直し受付システムがあったからこそ、
コンビニのように多くの店員が交代で勤務する場でも、受付が可能となった。

本誌第一回目の掲載時は、「人を活かすモバイル活用」として紹介したタブレット受付システムだが、
その目的を果たしながら、「事業を伸ばす動力」になりつつある。

*ファミリーマートのニュースリリースはこちら

 

 


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