ドローンがビジネスに与える影響とは?
2016年 夏号 2016.09.30
無人小型飛行機「ドローン」は、脅威なのかチャンスなのか。「ドローンスクール静岡」を開校し、技能実習及び安全運行管理者講習を行っている桜井氏に特別寄稿をいただいた。(編集部)
ドローンがビジネスに与える影響とは?
自律飛行できる無人小型飛行機「ドローン」。1932年に英国空軍の無人標的機が登場して以来、様々な無人航空機が戦場の空を飛び交っている。
我が国では1987年にヤマハの無人操縦ヘリコプターが誕生し、農薬散布や圃場管理用に独自の進化を遂げて市場をほぼ独占してきた。
そして民生用として2010年に登場し、時代の寵児となったのが、4ローターの「A・R・ Drone」である。
ドローンの実用化は、各種センサー(加速度、ジャイロ、GPS等)に加えて新技術の賜物であるリチウム・ポリマーバッテリーによる超小型・軽量化によって進められた。
自由度は狭まったが産業用途に期待大
空の産業革命ともてはやされる一方で、テロや犯罪などへの転用が危惧されていたが、2015年、我が国首相官邸への落下事件が起きた。
その直後の同年12月10日に「改正航空法」が施行され、飛行禁止区域などの規制が強化された。現在は、飛行許可申請の煩雑な手続きが必要となり、ドローンの自由な飛行は行えない。
では、ドローンは墜落の危険性から利用を制限すべきものか、それとも社会に役立つ活用ができるのか。
現在、ドローンの用途は、撮影、測量、高所作業及び調査、災害調査や救助、イベント等の分野に裾野を広げている。
その先の可能性として、Amazonによるドローン配達シーンで世間の耳目を集めた物流分野への期待が高まっている。
オーストラリアでは物流用途を意識した関連法がすでに2002年に施行されているが、我が国でも、過疎化した中山間地を抱えた多くの地方自治体は、いわゆる「ラスト・ワンマイル」の戸別配送サービスの担い手として、熱い眼差しを向けている。
そのような中で、私たちは、未熟な操縦技能や不十分な運行管理による事故を未然に防ぎ、凶器にも優れた道具にもなるドローンを正しく理解し、今後の有効性を推量し、また飛ばしたくても飛ばせない事業者の支援を目的とする会社・Queen Bee and Droneを本年度、静岡に設立した。
事業の一つとして「ドローンスクール静岡」を開校し、7月から技能実習及び安全運行管理者講習を行っている。真の目標は社会に貢献するドローンの活用推進である。
有効活用分野として、例えば人が入りにくい土地の調査が挙げられる。
地質や農作物などのリモートセンシングによる分析、土木業界においては地表の3次元データ取得による重機の無人操縦などに繋がるロボティクス技術に着目し、データ収集や加工といった高付加価値化が実現できるだろう。
今後、更なるドローン活用の可能性を追求して行きたいと考えている。
桜井俊秀氏の寄稿:ドローンでスズメバチを退治!