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「明日はキャンプ場で仕事をします」と言われたらどうする?<IT活用事例>

Webオリジナル 2016.12.01


なぜアウトドアでの仕事体験が働き方改革に有効なのか

 

平日の昼間。

キャンプ場に現れたその人たちは、家族でも友人でもない。

協力しあってテントを作り上げると、…会議をしたり、ノートPCに向かったり…。

これは、「アウトドアオフィス」の実践風景である。

オフィスを飛び出して河原など自然の中で仕事をしようと会社から言われたら、あなたはどう思うだろうか。
普通は驚いて目を丸くするだろう。

 「アウトドアでの仕事体験は自分たちが取り組んできた様々な取り組みの集大成。言いたいこと、伝えたいことが全部入っている」
と目を輝かせるのが、スノーピークビジネスソリューションズの村瀬亮社長である。

 

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スノーピークビジネスソリューションズおよびハーティスシステムアンドコンサルティング 代表取締役社長 村瀬亮氏

同社はアウトドア用品のスノーピークと、IT企業であるハーティスシステムアンドコンサルティングが共同で2016年7月に設立した新しい会社だ。

活動の集大成」とは、村瀬社長がハーティスシステムアンドコンサルティング社内で試行錯誤しながら組織の在り方、ITツールの使い方、働き方を検証してきた足跡を指す。

 ハーティスシステムアンドコンサルティングは、
  ・ハンディターミナルやバーコードを使用する現場改善サポート
  ・ワークスタイル改革支援
の二つを事業の柱とする。後者の分野における試行錯誤でたどり着いたのが、アウトドアでの仕事体験である。

それはどのようなものだったのだろうか。

 

ツールを使い倒し働き方の本質を模索

いつでもどこでも使えるITツールが増え柔軟な働き方ができつつあった4年前、「まず自分たちがツールを使い倒してみることから」(村瀬社長)スタートし、情報共有に活用できるさまざまなモバイルアプリやクラウドサービスを自社導入してみた。

一つひとつのツールにはそれぞれ良さがあったが、

  多くの会社のITプラットフォームがWindows基盤であること、 
  さらにマイクロソフトが「デバイスフリーの戦略」を発表したこと

に賛同し、現在はOffice 365を中心に、働き方改革の提案を行っている

単にOffice 365を売るのではなく、「働き方や人間関係の構築」まで支援できるところが同社ならではの特徴である。

自社の取り組み例としては、たとえば、拠点間でのWeb会議が挙げられる。

スクリーンを90度の角度に2つ設置し、「Skype for Business」で拠点間を常時接続しているのだ。
壁の向こうにもう一つの拠点があるような、すぐ隣にいるような感覚で、お互い、「カメラで撮っている」という感覚も薄れていく感じだ。

昼食時間前には画面近くに集まり「昼礼」がスタート。2拠点一緒に情報共有や意見交換、発表、スキルアップなどを行っている。

 

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名古屋オフィスの様子。撮影時は岡崎オフィスと「昼礼」中で。会議時間以外もお互いを映したままの状態にしている。 右上のモニタには、共有したい情報を流している

 

名古屋にあるオフィスには、いろいろな机や椅子が置かれ、「自由席」。SurfaceなどのノートPCを用いて、互いの気配を感じつつ、今日の仕事に即した場所で業務を進める。
集中したい人向けに、仕切りのあるゾーンも設置されている。

壁にはモニターが並び、仕事に関する情報や映像が流れる。紙の掲示より、多くの情報を伝えることができるという。

同社は年一回、会社の方向性を皆で話す「ビジョンシェアリングデイ」を開催し、各人の思いを「シェア」しているが、発表された内容はこのモニターにも表示し、その時の思いをいつも意識できるようになっている。

 

全体のメリットになるものは、「やってみる」

村瀬社長は社員からの提案や改善案を歓迎し、耳を傾ける。

そのなかには、「婚活をしたいので、勤務日を週3日に減らしたい」というユニークな申し出もあった。
人生において、パートナー探しはとても大切だが、平日は仕事に集中して定時に帰れないことも多い。ならば、一定期間、出社日数を減らし、平日に自分の時間を作りたいとの相談だった。

今までの常識なら、おそらく、わがままと受け取られるだろう。

同社では、個人の都合だけを追求する提案は受け付けないが、広い目で見て組織にメリットがあるものは、「どう実現するか」の視点で考える。
本件は、チームの協力を得て実施され、当人が描いた状態に近づいているそうだ。

他にも、20分までお昼寝OKの専用チェアを置いたり(名付けて「BQ20」!: BEST QUALITY 20)、
従来の価値観や会社の常識に縛られず、良いと思ったことは実施し結果を見て考え、またトライ…を重ねている。

これらが社員を甘やかしているのではないことは、同社の売上・利益が着実に上昇していることが裏付けている。
社員の意識の高さに感動して契約を結ぶ会社が増え、働き方改革への具体的な手法の伝授まで依頼されることも多々ある。

 

 働き方をよりよく改革するための条件とは?

村瀬社長が数年にわたる実践から得た働き方改革のポイントは、

 「風土づくり、意識改革」の大切さ

だった。

在宅などオフィスにとらわれない働き方を形だけ導入しても、もし社員が「特別扱いしている、ずるい」「在宅で仕事なんて楽している」と感じてしまったら、目指す効果に至らない。

改革には、多様性を受け入れ、組織と人が最大のパフォーマンスを上げる視点で考える風土が必要だ。

かなりアナログである。
しかし、「働き方」は人と組織の問題だから、そもそもアナログである。

ITツールありき、道具だけが先行することなく、道具を使いこなす側の意識にも気を配るのは、よく考えれば当然のことだ。

では、社員の意識改革や風土づくりをどう進めて行けばよいのだろうか。
同社は、そのヒントを「アウトドアオフィス」に見出したのである。

村瀬社長は以前、四国地方にサテライトオフィスの設置を検討したが、諸事情で見送った。
しかし「キャンプならどこでも実験できる」と高知県のある場所にテントを張り、1週間、一人でアウトドアでの仕事を試みたことがある。
途中には入社式もあったが、キャンプ場からオンラインで参加した。

この体験に新しい可能性を感じ、ついには会社でキャンプ用品を購入。
皆で公園にテントを張り、「アウトドアでの仕事」を実施したのである。

「テントを組み立て、食事をし、仕事をし、夜は焚火をしたり。アウトドアで仕事をするそれぞれのプロセスには、チームビルディング、クリエイティブなアイディア、クラウドの新しい使い方、モラルとマナー、BCP対策など、伝えたいことが全部入っていることがわかりました」
と村瀬社長は振り返る。

新しい働き方を見出し、成功させるには、この体験が有効なのではないか――。

アウトドアでの仕事体験は意識改革や風土づくりを促し、働き方改革の根本を支えるツールになると確信し、事業化に至ったのである。

新会社スノーピークビジネスソリューションズのキャッチフレーズは

   自然と、仕事が、うまくいく
   OSO/TO(Outdoor Small Office/Third Office)

である。

  1.オフィスを変える
  2.働く場所を変える
  3.つながり方を変える
の3つのアクションをサポートし、テントをはじめとしたキャンプ用品も提供する。

 

日本マイクロソフト社本社品川オフィス1階に展示されているアウトドアオフィスの様子。展示は2016年11月末まで

日本マイクロソフト社本社品川オフィス1階に展示されているアウトドアオフィスの様子。展示は2016年11月末まで

 

試しにキャンプ用の低めの椅子に座ってみたところ、いつものオフィスチェアとは違う目線、姿勢になり、新鮮な感覚を得た。
数人集まれば、会話や議論が普段とは異なるものになるにちがいない。

河原でテントを張って仕事をしていても、インターネット環境があれば、情報共有も顧客への対応もオフィス同様に進められる。
Office 365をはじめとしたクラウドやモバイルが、しっかりと情報をつないでいるからである。

便利になったITツールと自然の中という環境。この組み合わせは可能性の宝庫である。

「明日はキャンプ場で仕事をします」と言われたら、今ならちょっとワクワクする。

 

いつもの会議、次はテントの中でやってみませんか。

 

  <働き方改革への役立つ情報を満載!>
 中堅中小企業向け働き方改革情報ポータル サイト

 ・スノーピークビジネスソリューションズ
  http://snowpeak-bs.co.jp/

 ・ハーティスシステムアンドコンサルティング
  http://www.heartis-sc.co.jp/

 

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