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システムを全部クラウドにした空調メンテナンス会社<IT活用事例>

Webオリジナル 2017.01.18


 

システムが止まるリスクや運用負荷を大幅軽減
情報システム部門なしで約300人がシステム利用中

情報システムを「持たずに利用する」クラウドサービスの利用メリットとして、普及当初は「月額課金のため初期投資が抑えられる、試すことができる」点がよく強調された。

ただ、これは支払い方法の変化に過ぎない。
本当のクラウドのメリットは質の高いシステムをサーバーなどの設備投資をせずに安定的に利用できることにある。
利用企業の側からみると、「運用面での負担軽減」となる。

その様子がわかる具体的な事例として、

  ・業績好調で従業員が一気に増え300名近くに。

  ・客先での営業や業務がほとんどのため、外勤者のパソコン携帯は必須。

  ・休日に客先に出向くこともあるので、システムは常に安定稼働させたい。

との状況下で、専任の情報システム担当者を置かずにオールクラウド化を図った、
空調メテナンス・省エネコンサルティング業のエコ・プラン(東京都新宿区)を紹介しよう。

会社名 株式会社 エコ・プラン
所在地 東京都新宿区西新宿7-20-1 住友不動産西新宿ビル22F
代表者 代表取締役 三ッ廣修氏
設立 2002年
従業員数 281名(2016年4月現在)
事業内容

空調、冷凍、冷蔵機器のオーバーホールを中心としたメンテナンス、
省エネルギーに関するコンサルティングなど

URL http://www.ecology-plan.co.jp/

 「人」にフォーカスし「攻めの営業」を可能に

エコ・プランは空調機の分解洗浄・メンテナンス事業で2002年に創業。最近は建物の省エネを実現する「EMS」(Energy Management System)のコンサルティングにも力を入れており、首都圏および大阪・名古屋でビジネスを展開。現在は本社以外に9つの拠点を有している。

同社はここ数年、年20%増の勢いで売上を伸ばしてきた。

その理由の一つは、組織体制づくりにある。

営業部門をもち積極的に提案を行う一方(同業者では営業担当者を置かないところが多い)、十分な人数の作業担当者を置いている。

例えば50店舗を展開する顧客と急に商談が進んだ際でも、自社で仕事をこなせる体制が取れる。機会損失を抑えられ、安心して営業を進められるのだ。

営業と作業現場の共有をどうするか

業務は、営業担当者によるヒヤリングや見積、本部での作業スケジュールの決定と顧客対応、作業担当者の訪問と結果報告と進む。これらの情報を営業担当、本部、作業担当が共有し、顧客からの問い合わせにもすぐに対応できるシステムが求められた。

オフィスが一か所のときは社内のサーバーでファイルを共有していたが、拠点が増えてからはVPN(Virtual Private Network セキュリティを確保したネットワーク)による拠点間接続を行った。ただ、拠点ごとの作業管理では本部で顧客からの問い合わせに対応する際に情報を検索しにくいことと、営業やメンテナンスで客先に出向く社員の社外からのアクセスが課題となった。

経営管理部総務部係長の佐久間大輔氏は次のように振り返る。

「すでにノートPCは配布していましたが、我々のIT知識はそれほど豊富ではないため、社外からVPN接続するのはセキュリティ面で不安がありました」

バラバラになりがちな情報を一元管理し、安定的に利用する方法として俎上に載せたのがクラウドサービスの活用だった。

「休日でも業務があるのでシステムを止めるわけにはいきません。以前はサーバーにトラブルがあると駆けつけて入れ替え作業をしなければなりませんでした。大手ベンダーのデータセンターは攻撃への対応もしっかりしていますので、その点の不安が大きく減ります」と佐久間氏は話す。

エコ・プラン 経営管理部 佐久間大輔氏

エコ・プラン 経営管理部 佐久間大輔氏

 

3ステップでクラウドサービスを導入

第一段階として、顧客への対応履歴を共有するクラウドサービス「セールスフォースドットコム」を導入。受注内容や作業スケジュールを共有し、担当者が外出中でも社内にて顧客からの問い合わせに対応できるようにした。

eko4eko2次に、名刺情報活用サービス「Sansan」を用いて、名刺情報のデータ化や商談履歴の確認と共有、メール配信などを可能にした。「半年後に訪問」などのスケジュールを忘れずに表示させる機能もあり、営業機会を逃さなくなった。

そして、第三段階が「Office365」によるクラウド上でのメール運用とファイル共有である。

他のサービスも検討した結果、ストレージの容量が豊富であること、WordやExcelの利用を続けたいことが決め手になった。

一つのファイルを複数人で共有すると、ある人が残しておきたいファイルが別の人の上書き保存によって(上書きされ)消えてしまうことがある。最後にとったバックアップデータから更新があると完全な再現も難しい。「Office365」では、クラウド上のストレージサービス「OneDrive」にファイルの履歴が記録される(バージョン管理)ので、誤って上書きした際にも便利だという。

そして、「利用して実感するのは、パソコンが壊れたときの事業継続性が高いこと。パソコンを入れ替えれば、本人のOutlookのIDに従い、すぐにメール利用を再開できます。パソコンに設定をし直さなくてよいので、仕事を止めることがないのです」と佐久間氏は話す。

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同社では業績上昇に伴い、従業員が1年で60名増えた年もあったが、「Office365」利用が始まっていたので、情報システム部門がなくても初期設定を難なくこなせたという。
もしサーバーへの登録やパソコン1台ずつにひとつひとつキッティング(アプリケーションやネットワークの設定など)を行っていたら、手が足りなくなっていたはずだ。もちろん管理者側でOffice365のユーザー登録作業は必要だが、現有の総務部門で対応できる範囲だった。

システムのトラブルで佐久間氏が自宅から駆け付けるような事態もなくなり、安定したシステム活用が進められている。

エコ・プランのシステムオールクラウド化は、営業強化にともなう外勤者の情報利用をスムーズに安定的に進める目的を果たしつつ、ITを利用するための管理業務を最小限にし、同社の経営に貢献している。

*冒頭業務風景の写真はエコ・プラン提供

関連リンク

 ・「Office365について」
     日本マイクロソフト 働き方改革週間 2016 
・「Office365」関連本誌連載 


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