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女性に人気の温泉旅館が、おもてなしのために導入したITとは

2019.01.10


デザイン・サービスに自信の旅館が
顧客管理システムでリピート増へ【IT導入補助金活用事例】
    ―――岐阜県下呂市 森山旅館(紗々羅) 

 

例えば女性二人で旅を計画。宿泊先では温泉にエステ、おしゃれなカクテルを楽しみ、優雅なひと時を過ごしたい。このとき、団体客がバスでやってくる従来型の旅館は選択肢に入りにくい。一人旅ならなおさらだ。

川を臨む客室。手前が畳敷きになっており、ベッドを仕切られた空間で食事ができる

 

下呂温泉の高台に建つ「紗々羅」(会社名:森山旅館)は、この流れとは一線を画したラグジュアリーな温泉旅館だ。デザイン性の高い内装・くつろげる空間づくりを行い、個性ある客室を提供。2018年に改装したばかりの和洋室は、「和と洋の良いところ」を融合させ、新しい空間を提案している。

「団体旅行が主流だった20年前から、個人客をターゲットに“女性に人気の宿”を目指しています。現在、44室のうち20室が露店風呂付であり、部屋の改装も次々行っています」

事業コンセプトをこう語るのは、代表取締役の大前文夫氏である。業界の常識にとらわれない動きに「金融機関には渋い顔をされました」と笑うが、顧客が喜ぶ姿をイメージし、一歩先を行くアイデアを出し続ける。

 

代表取締役 大前文夫氏(写真左) 営業企画部課長 大前雅嗣氏(右)

 

顧客満足度を高め相応の宿泊費を設定するのが同社の戦略だ。その一環としてITにも注目した。自社Webサイトからの予約率向上とリピーターを増やす策だ。

同社のWebサイト制作を手がけていたIT企業・スペリオルからの提案で2017年のIT導入補助金を活用し、予約動線を重視したWebサイトへの改良と、顧客管理システムの導入を行った。

Webサイトは、部屋や料理の写真など、同社ならではの様子を写真で伝え、「このお料理を食べたい」「この部屋に泊まりたい」と感じたらそのまま予約に移れるよう改良した。
紗々羅には、100平米を超える独自内装の特別室が2室あるが、この部屋は旅行代理店には出さず自社サイトからのみ受け付けるようにした。

Webサイトの例

IT面を担当する課長の大前雅嗣氏は、「稼働率が明らかに向上してきました。部屋の様子を詳しく伝えられる効果は大きい」と手ごたえを話す。自社サイトから申し込むと特典が付く会員制度も作ったという。

会社概要 有限会社森山旅館(紗々羅)
住所 岐阜県下呂市森1412-1
代表者 代表取締役 大前文夫氏
設立 1986年
従業員数 35名(パート含む)
事業内容 旅館業(温泉施設あり)
URL http://www.sasara.co.jp/

 

個人の記憶だけに頼らず 顧客情報を共有する

 

リピーターを増やすには、顧客の状況を把握したきめ細かいサービスが欠かせない。常に心がけているが、担当する仲居の記憶に依存しがちでバラツキが生じていた。

土鍋で炊いたご飯も人気

そこで、ホテル・旅館の業務にフィットするクラウド型の顧客管理サービス「神対応」を導入し、顧客の様子や好み、食事のアレルギーなどを一元管理して会社として共有。個人に依存せず、顧客の情報を次回宿泊時の
サービスに反映させられるようにした。

こうしたシステムは初導入であり、戸惑いもあったという。そこでまず、「顧客の情報を言葉にしてメモを書く」習慣作りから始めた。大前課長は次のように説明する。
「メモの内容は事務所でシステムに入力し、その日のお客様の留意点はシステムを参照してメモで渡しています。当初、記載内容には濃淡がありましたが、だいぶ慣れてきて、意義も理解してもらえるようになりました」

システム導入後、リピーターが着実に増加してきた。「従業員の質・感覚が高まっています。やってよかった」と大前社長は感想を話す。

いずれ仲居自身が入力、確認できるようタブレットも導入する予定だが、あくまでもバックヤードで使い、情報を頭に入れてから接客したいとのことだ。

紗々羅には、外国人の仲居も働いており、日本の「おもてなし」を必死で学んでいる。

「日本の旅館スタイルを世界のスタンダードにする意気込みで取り組みます。IT面では食材発注量の自動計算などまだまだできることがあります」と大前課長は力を込めた。

 

●サポーター紹介

株式会社スペリオル
http://www.superior.co.jp/
代表取締役 藤原浩章氏

愛知県名古屋市のIT企業。飲食業関係者との交流をきっかけに、顧客管理サービス「神対応」シリーズを開発。同シリーズは、料亭、ホテル・旅館、サロンの3業種別に提供されており、それぞれの業務プロセスに合致させている。ホテル・旅館なら、宿泊予約・顧客登録・部屋割・詳しい顧客情報の入力と共有などができる。
サービス提供から6年間、顧客の要望を聞いてシステムを進化させてきた。現在まで、解約率0%を誇っている。

「単なる予約や管理機能にとどまらず、お客様の情報を共有して関係性を深める効果を意識しています。例えば法事に利用してもらったら、三回忌などタイミングを自動計算してお知らせする機能や、来店後のサンューメール機能なども設けています」
藤原浩章社長はこのように説明する。

新規顧客の獲得に積極的に取り組んできた紗々羅は、リピート率を高める仕組みによりさらなる収益増が見込めると、「神対応」の活用やIT導入補助金を提案したという。

藤原社長は、ユーザー企業の会合に積極的に参加して交流し、要望に耳を傾けてきた。その信頼関係がサービスに活かされている。

 


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