家族皆でワクワクできる文具店に、仮説検証できる人が成長のカギ
来店客増経営の見える化小売業21から100人POSレジ・注文受付
2022年 夏号 2022.08.04
心落ち着き、そして心躍る空間─2022年4月、福井県越前市にオープンした文具店「HORITA LIFE CANVAS 武生中央公園店」は県内6店目。
「いわば“田舎のディズニーランド”。誰にも親しみがある文具で、家族皆がワクワクする空間を提供しています」

越前市にオープンした店舗はおしゃれなカフェのようなデザイン。陳列も内装も空間を楽しめるつくりだ。
エネルギッシュに事業コンセプトを説明するのは、ホリタの代表取締役社長・堀田敏史氏である。9年前に事業を受け継ぎ、文具小売店の役割を再定義した。
ネット販売の攻勢で町の文具店は打撃を受ける。「でも、それは“経営”をしていなかったから。生き残るにはデジタル化も必須でした」と堀田社長は振り返る。
会社名 | 株式会社ホリタ |
住所 | 福井県福井市大願寺3-9-1 |
展開 | 県内6店舗 |
設立 | 1994年(創業:1950年) |
従業員数 | 60名(パート・アルバイト含む) |
事業内容 | わくわくする空間の提供、文具の販売 |
URL | http://horita-bungu.jp/ |
データ分析は必須業務自動発注の基準づくりも

代表取締役社長 堀田敏史氏
どんぶり勘定からの脱出と、7万アイテムに上る商品データを経営に活かすべく、POSレジ活用(文具メーカー用)、販売管理、在庫管理と、ステップを踏んでデジタル化を進めた。
当初は商品のコードを読むと金額が出るだけで歓喜したというが、現在は商品分類やメーカーごとの売上管理、「モノとデータが一致する在庫管理」が実現している。
得られたデータは毎週のミーティングで分析し、レイアウトや陳列の変更・品ぞろえの工夫を行っている。
「当社のクルー(スタッフの呼称)は仮説検証が大事な仕事です。データ分析が苦手な人もいますが、数をこなして慣れていくと『なんだか面白い』となったりもします。一人ひとりが成長し、結果を出せる人になってほしい」と堀田社長。データ活用の習慣は人材育成につながるのだ。
今、取り組んでいるのは自動発注への基準作りだ。POS導入時からサポート受けているITC栃川昌文氏がクルーの会議に同席し、発注点の見極めについて、顧客の目線を重視してアドバイスを行っている。バランスや流行なども見ながら、ラインを見定めているとのことだ。
コロナ禍ではWeb会議やチャット、Googleのアプリケーションを利用し、遠隔での情報共有を推進した。
ITで業務連絡を効率化したぶん、堀田社長はクルーとのコミュニケーションを心掛けている。その成長が店舗の力になると考えているのだ。
「デジタル化は人間らしくあるためのツールです。店舗でも、作業的な業務が減るほどに、お客様に接する役割が増えていくでしょう。五感に訴える販売は店舗だからできること。その価値をさらに高めていきます」