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事業再建への歩み〜東日本大震災被災企業・経営者の言葉

2015年 夏号 2015.08.27


自社が大きな災害に見舞われたら、その後の経営をどうするか。

東日本大震災から4年。事業を断念した企業が多々ある中、再建を選択した経営者が対峙してきたものは何か。
宮城県気仙沼市でホテルを経営するセントラルホテル松軒の鈴木淳平社長が4年間を振り返る言葉から、判断の足跡を追う。(編集部)

気仙沼地域の取り組みについては、「支援機関の活動紹介:気仙沼商工会議所(宮城県)」も併せてお読みください。

その時

宮城県気仙沼市 セントラルホテル松軒 代表取締役社長 鈴木淳平氏

宮城県気仙沼市
セントラルホテル松軒
代表取締役社長
鈴木淳平氏

みるみる間に水が増してきて、車は流れる、家は倒れる…。当社の3階建てホテルも2階まで水没しました。
「これで気仙沼は終わったな。事業再建はほぼ無理だろう」と。気仙沼の企業の方は、皆さん同様に思ったでしょう。

セントラルホテル松軒は明治25年の創業。2011年3月11日、4代目経営者の鈴木淳平氏は宿泊客とともに避難した小高い丘の上の神社で、予想をはるかに超えた津波の猛威を目にした。
ホテルがあったのは大島へのフェリーも発着する内湾に面した観光の中心地だった。

大島行きのフェリーは運航している

判断

市内の企業への復興支援は、まず基幹産業である水産業から。我々中小事業者や商店まではなかなか届きません。仮設の建物での営業も考えましたが費用的に無理と断念しました。
しかし、2012年の秋、気仙沼商工会議所の案内で「グループ補助金」という支援制度が使えることがわかり、再建に踏み出そう、と。
ただ、自己資金も必要ですので、慎重にならざるを得ない。この段階で断念した同業者からは「頑張れよ」と励まされました。

「グループ補助金」とは「中小企業等グループ施設等復旧整備補助金」のこと。セントラルホテル松軒をリーダーとする約90の事業者は「気仙沼観光産業復旧グループ」として認定を受けた。中小企業への補助率は4分の3。「グループ」とはいえ、再建は個々の経営判断だ。

選択

できれば元の地で再建したかった。しかし内湾地域の整備は当初より遅れていました(現段階でも整地・盛土の途中)。少しでも早く再開したいと土地を探し、2013年の11月に新しい場所での再スタートにこぎつけました。
私の場合は、100年以上の歴史がある「松軒」という名を残したい一心だったこと、そして復興事業者向けの宿泊施設が足りないという現実が原動力になりました。

途中、土地探しの難航や工事費や資材の高騰で断念しかかったこともあった。収支計画を練り、費用を抑える工夫をして、新しい場所でホテル事業を再開。内湾地域では、いまだ仮設店舗による営業を続ける店もある。
補助を受けたとしても、投資が伴う再建には、経営者の冷静な事業計画と強い思いの両方が必要だ。

気仙沼市内湾は整地・盛土が行われている途中

未来

震災から4年が過ぎて、我々の意識も変化してきました、当時は自分たちのことで精一杯で、被災地見学者の方に心を開いて話せないときもありました。
しかし、これからは気仙沼の震災遺構を残して後世に伝えてゆくことも大切な仕事です。ぜひ皆様には「被災地観光」に来ていただければと思います。
この地で生業していくということは、町を綺麗にするだけで終わりではありません。再建後のビジネスが軌道にのってこそ本当の復興なのです。

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