【連載】あいてぃのある職場日記(15年冬)
2015.05.13
「あいてぃのある闘病日記」
この原稿、実は病室のベッドの上で書いている。この歳になって人生初の入院ということで、不安と期待が入り混じったような気持ちで病院に来たが、あまりの快適さに正直驚いた。
かみさんや子どもたちのうるさい声を聞くこともないし、看護師さんは優しいし、思いのほか病院食はうまいし、快適なことこの上ない。
一応、入院は10日間の予定となっているが、こんなに快適なら1カ月ぐらいは入院していたいと真剣に思う。
そのほうが、会社にとってもかみさんにとっても好都合だろうし。
入院患者用の共同スペースにはインターネットが使えるパソコンが置いてあった。
大半の患者さんは待合室などでスマホいじっているし、大病院になるとWi-Fiスポットもあったりするとかで、漠然とイメージしていた「入院生活」という概念からは大きくかけ離れてきているんだなあと実感する。
普段の生活と大して変わらんやん、と。
そんな私も、この原稿を書くために会社支給のパソコンを持ち込んだ。
仮想デスクトップ(シンクライアント)というやつなので、病室にいても会社と同じ仕事ができる、というかできてしまう。
とはいえ、いつもうるさい上司から「仕事のことは忘れてゆっくりしてください」なんて、珍しく優しいメールがきたもんだから、その気になってのんびり構えていたら、早速次の日には、「急な仕事が入ったから退院までにやっとけ」みたいな普段通りのメールが…。
「どうせ暇なんだろ」とも書いてあるし。
上司がシンクライアント持て持てって言ってた理由が入院してみて初めて分かった。
便利な世の中っつーのは、おちおち入院もできませんな。
2015年、読者のみなさまもご自愛ください。
世中渉(よのなか・わたる)
著者プロフィール:メーカーに入社27年目の元営業職。
出世はおまけと割り切りつつも、上司と部下に挟まれて迷い多き日々を送っている中年風中間管理職。