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第2回 国の施策と地方の現状

2020.06.17


第2回は、中小企業支援で言われる「革新」について、地域ニーズに即したあり方を考える。

補助金活用の本質とは?

ここ数年来、補助金や助成金が活発だ。補助金申請においては、経営革新計画や先端設備導入計画などの認定を受けると加点されることがある。「革新的な事業計画」策定が、補助金の交付に直結し、経営改善や生産性の向上につながるという考え方だ。

こうした流れから、中小企業の支援者は、国の定めた認定や補助金を獲得させることこそが効果的な支援であると信じ、革新や差別化が必要であると口にする。

また、もらうお金の損得計算が先行して、この取り組みで「生産性は向上するのか」「経営はよくなるのか」の検討が後回しになっていることもある。

本質的な経営改善につながらない取り組みでの補助金活用、そして書類作成テクニックの競争には賛同できない。

地方では国への財政依存度が高い一方で、行政と企業との距離は近く、親密であるため、施策を実施しやすい。仮に地方の実情に合わなくても、進んでしまいがちだ。

では、地方の実情に沿う改革支援とは何だろうか。

 

差別化より小さな多事業化

現在の補助金や認定制度などを軸とした中小企業支援の多くは、大企業の組織的な経営モデルを小さくしたものである。

大企業では差別化と優位性の確保により、商圏とシェアの拡大を目指している。市場競争下で勝ち組を育てる競争優位の戦略が原点である。

地方の中小企業は商圏を守ることが第一であり、差別化と優位性の確保による競争より、集約化と協調性が大切だ。同業者とは協調し、直面している顧客のことを考え、負け組をつくらない戦略である。

消費者数が限られる地方では、一つの企業が小さな事業を多種類持ち、地域ニーズにこたえるのが有効だ。

例えばあるスポーツ店では、地域の高齢者向けの健康食品を扱いながら学校の部活向けにユニフォームを販売するが、本業は接骨院であったりする。ある弁当製造業は、お昼には役所に移動販売を行うが、夕方から本業の居酒屋を開店。日曜日には自店製造の食品を抱えて地域のイベントに出店する、など。

様々な業種や顧客と少しずつ取引し、地域内の存在価値を高め収益を積み上げるのだ。

 

 

一つのビジネスに資源を集中しないのは働き方改革や生産性向上の観点からは非効率であり、事業領域をあいまいにする。しかし、これをそのまま認めて魅力とし、時代に適応させていく支援が行われれば、企業価値を高めることができる。

国の施策を正しく推進しつつ、地域の多様なニーズに対応する事業の創造こそが地方の革新あると、自信を持ちたい。

(執筆:加藤剛 寄稿内容は2019年秋号発行時期時点のもの)

 

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