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欲しい数値がいつでも見られ、生産工程を円滑に進める!

2015年 春号 2015.05.13


梶フェルト工業株式会社工場の図面閲覧にタブレットを導入し、材料コスト削減や正確な納期対応を実現した梶フエルト工業。
本誌2011年夏号掲載後、大型案件の受注に対応し売上を倍増させた。基盤にあるのは欲しい数字がすぐわかる基幹システムと、現場で使えるITの合わせ技である。

社名 梶フエルト工業株式会社
所在地 東京都墨田区東向島5-41-8(本社以外に東向島工場)
設立 1921年
従業員数 約30名
事業内容 フエルト製品および関連商品の加工・製造販売
URL http://www.kajifelt.co.jp/

昨日の売上、原材料の状況、取引先別の受注推移、現場の作業状況…。パソコンを開くと「経営の今」が次々と表れる―。東京スカイツリーのほど近く、町工場や住宅が並ぶ下町・墨田区にある梶フエルト工業の本社で、梶朋史社長が見せてくれたものだ。

最新図面をダブレットで

工場内では、最新の図面データを正しく閲覧するため、iPadを用いている(本部で最新の情報だけをサーバーにアップする)。拡大縮小も容易で見やすい。社内はWi-Fiが整備されている

どうする短納期対応、計算・予測は欠かせない

同社は工業用フエルトの加工を行っており、毎月4000件ほどの注文に対応する。

工程管理や原材料の計算・発注のために梶社長自身がマイクロソフトの「Access」で構築した基幹システムは、取引環境の変化や経営者として見たい数字が増えるに従い、多くの機能を備えていった。
システムの威力が顕著に現れたのは2012年。大手企業から新しい案件を依頼されたときだった。

平均納期は3日だが原材料の調達には2週間かかる。発注を待っていたら材料が間に合わないが、材料在庫を持ちすぎても経営を圧迫する。同社は、システムを使い内示の数字と実績を照らし合わせながら原材料の事前手配を行い、指定の納期に対応することができた。また、材料費の支払いが先行するため、「現金が必要になりますから、預金の残高やキャッシュフローなどを確認しシミュレーションできたのは大きかった」(梶社長)という。

年間の売上は数年前から大きく伸び約8億円。大型案件に対応できるITシステムを持っていたことが売上増を導いたと言える。

オフィスでは受注、生産、材料などあらゆる情報を確認できる

紙はなくならないが、デジタルと組み合わせる

一方、モノづくりの現場に目を向けると、現品に伝票をつけて次の工程に渡していくため、すべてをデジタル化することはできない。取引先からの発注もまだまだFAXが多いという。
そこで梶社長は、ITツールと紙の適材適所の使い分けを行った。
受信したFAXはそのまま紙で出力せず、複合機のアプリでデータとして配信する方法を取っている。そして、Accessベースのシステムに受注を入力後、プリントした指示書を工場に回す。作業が終わった段階で、担当者は工場にあるスキャナーで伝票を読み取りサーバーに配信、本部が作業終了と出荷をパソコンの画面に表示される伝票の画像で確認するようにしている。
この方式により、作業しやすさと連絡の簡便さ、伝票の渡し忘れや紛失などの事故の減少を両立させている。

また、以前本誌でも紹介した通り、差し替えが多い図面の扱いについては、工場にタブレットを配置して、最新図面だけを表示するようにして取り違いを防いでいる。
「時間のかかる方法で『一生懸命頑張っています』と言っても相手にされない時代です。製造業は、ITが必須です。工程記録は、納品後に何か問題が生じた際に顧客へのスムーズな回答ができる信用基盤にもなります」

梶社長は、もはやIT経営は必然と言い切り、システム活用に取り組む企業にエールを送る。
「ITというと難しそうですが、少し仕組みを知れば、見えてくると思います。わからなければ専門家に相談するのも手です。経営者が率先して動きたいものです」

特注ケースで持ち歩くスマートフォンは、VPN(セキュリティを保ったインターネットアクセス)を経由して会社のサーバーにアクセスできる。写真はVPNアクセスの様子(左)、自身が利用しているパソコンにアクセスした様子(上)、会社に届いたFAXをスマートフォンから確認(下)


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