物件管理であふれる情報を、どうスマートに処理するか(IT導入補助金活用事例)
2019年 春号 2019.03.29
支援機関のサポート&IT導入補助金活用事例
─広島県東広島市 不動産賃貸管理業 フラッグコーポレイション
広島大学の広大なキャンパスが広がる広島県東広島市。この地で学生向けの賃貸住宅を運営・管理しているのが、フラッグコーポレイションである。自社所有物件が5棟ある。
不動産の賃貸においては、物件・部屋の基本情報、修繕・リノベーション記録、借り手側の顧客情報など、多数の情報を扱う。物件数が増えるにつれ管理する情報量は膨大になってきた。学生の入退去が集中する1~3月は業務がとくに煩雑になる。
総務・管理部部長の片山慎治氏は、これらを分野ごとにExcelで管理してきた。
「内容ごとにファイルを開いていく手間に加え、Excelの構造を知らないとうまく使えません。これではもし、新しい担当者が入ってきてもできないと…」
例えば顧客名から部屋情報が見られる、「すぐ取り出せるカルテ」のようなシステムの必要性を感じていた2018年5月、片山氏は東広島商工会議所で開催されたNPO法人ITCコーディネータ広島のIT活用・IT導入補助金のセミナーに参加。その後、商工会議所・川辺氏の勧めもあり、個別支援を活用した(本プロジェクトに関する記事はこちら)
会社概要 | 株式会社フラッグコーポレイション |
住所 | 広島県東広島市西条下見6-10-3 |
代表者 | 代表取締役 宮川浩明氏 |
設立 | 1995年 |
従業員数 | 2名 |
事業内容 |
不動産業 |
災害などのリスクも考え、クラウド型を選択
ITコーディネータ矢村弘道氏のアドバイスを受けながらシステムに求める要件を抽出し整理した。
これをもとに、IT導入補助金が適用できる賃貸管理ツール2サービスを候補に。ITベンダーから説明を聞きデモを見て、クラウド型の不動産管理サービス「賃貸革命」に決定した。8月に補助金を申請して採択を受け、秋に導入が実現した。
選定時に注意した点について矢村氏は次のように説明する。
「要求仕様書をもとに、2社からの提案を評価しましたが、その際、価格ありきではなく、活用イメージが合うかを意識してもらいました。また、豪雨災害の際、オフィスの入口まで水が来た経験をしていますので、サーバーを置かずに運用できるクラウド型をお勧めしました」
導入して間もないため、本格的な効率化はこれからだが、「バラバラだった情報が紐づけされ、必要な情報をすぐに呼び出せるので便利です」と片山氏は笑顔で話す。
今後、物件数が増えても人を増やさずに対応できる見込みが立ってきたという。
「システムを使いこなして時間に余裕を持たせ、入居者さんへのサービスの充実や次の展開への準備も進めていきたい」(片山氏)とのことである。
*広島県のIT活用支援の取り組みはこちらへ
サポーター紹介
広島県を中心に活躍するITコーディネータ。メーカーでの生産管理、コンサルティング会社での実践指導の経験を有する。
フラッグコーポレイションの支援では、事業への想いや業務の進め方をじっくり聞き、同社が実現したいこと、システムに求める要素を一緒に洗い出し、「要求仕様書」としてまとめた。これにより、ブレないITツール選びを推進することができた。
同社の片山氏は、「自分で調べられる範囲は限られますが、専門家に相談することで“井の中の蛙”にならず、合うものを見出せました」と話している。