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第十二回 FileMaker新バージョンにみるIT利活用のヒント

2018.10.04


前回までは、FileMakerを活用するうえでの基本機能を紹介してきた。今回は、新バージョンの特徴を解説していただく。

 

 

新バージョンのFileMakerの特徴から生産性向上を考える

 

 自動車業界では、昔は故障した車を職人さんが長年の経験で神業的な修理してくれていましたが、いまやパーツパーツで中身はブラックボックスの部品(箱)が揃っていて、それを丸ごと入れ替えることで直ってしまいます。

 修理工の能力としては、最新の車種にどんなパーツが出ているか、それをどう入れ替えるか、それをきちんと把握できているのが(これまでの技術とは関係なく)優秀な修理屋さんという定義になりつつあるそうです。

 システムも同様です。将来的には、各企業の強みとなる独自のニーズも反映でき、さまざまな業務プロセスがまかなえるシステム部品(サービス)が世の中に用意されていて、それをつなぎ合わせ、組み合わせにより業務システムを構築するのが時代の流れと言われています。

 

 しかしながら今は、まだまだそのシステム部品が揃いきっていない過渡期であるのが現実です。

 2018年4月、FileMakerの新バージョン17(以下、FM 17)が発売されました。

(1)   独自のプロセス(理念)や新たな取り組みをIT利活用でどのように実現するか。
(2) フィットする業務システム(サービス)や既存の自社システムに活用できるデータがあれば、つないで効率的な活用をする。

という、大きく2つの視点からも、FM 17の新機能は、生産性向上を考える上でのヒントとなります。

 生産性を高めるための新しい取組み(また改善)にITを活用してみよう。と考え、まだアイデアレベルの内にシステム開発会社に見積依頼を出すと、驚くような見積書が出てくることがあります。また仮に発注できたとしても、手戻りや「もっとこうしてみたい」という修正が頻繁に発生し、効果がでないままあきらめてしまう、というパターンになりがちです。

 FileMakerは、そんな中小企業が「まずは自分で試せる」という初期からのコンセプトを新バージョンで更に充実させています。

 

1)内製化(開発)支援:システムの知識がなくても試作できるための改善・サポート強化

 FM 17では、新しく「テーブル」を作成する際に、必ずユニークとなる主キー、作成者、作成更新日、更新者、更新日の5つの項目が付与されるようになりました。

 システムに詳しくない方は、必要な項目だけ設ける場合が多く、そこが原因で、開発が行き詰ったり、運用時に対象のデータをいつだれが作成・更新したのか確認したくてもできないという、基本的なシステム設計の不備部分で悩まされることが少なくありませんでした。

 この改訂で、システムに詳しくないユーザーが自身で開発しても、後々できるだけスムーズな開発・運用ができるよう改善されました。

 また同様に、マスタ一覧と詳細レイアウトを1画面に同時に作成できる機能や、Starter App と呼ばれるサンプルプログラムの充実など、細かいようですが、初心者にとっては、なかなか1から作り上げるのはツールの勉強をしないとできなかったところが、直感的な操作やサンプルの変更で実装しやすくなっています。

 

2)モバイル活用:外出先からモバイルを使って働き方や業務改善できる機能

 スマホやタブレットなどのモバイルの活用は今の業務改善では考えるべき不可欠な要素ですが、FM 17では、センサー情報を簡単な関数で取得できたり、必要なタイミングでローカル通知(プッシュ通知)ができるようになりました。

 例えば、営業マンが訪問先(お客様)の近くに行くと、位置情報を取得して自動的に顧客情報の画面に直接リンクできる通知を出すことができるというようなものです。

 これまでもいわゆるモバイルのアプリ開発は可能でしたが、自分でちょっと試せるレベルではなく、良いアイデアが浮かんでも開発費用と効果を考えると足踏みしてしまうところでした。新しい機能を使えばちょっと試して運用してみることができそうです。

 

3)他のシステムとの連携API:外部サービスや他のシステムとAPI連携し、全体業務を回す仕組みを考える

 FM 17では「REST API」と呼ばれる標準化された規約に基づき、外部サービスや他のシステムとAPIで連携することが容易 になりました。

 FileMakerだけで欲しい機能を全部開発するのは小さな企業でもかなりの負荷がかかります。今は業務の一部を代行したり、ちょっとあると便利で比較的安価または無料で使えるサービスが沢山出ています。

 汎用的に使えるサービスは使い、自社の強みとなるキモのプロセス部分やフロント系の付加価値となるサービス部分は、FileMakerでトライエラーも含め開発してみるのがお勧めです。

 

 次回以降は、実際に中小企業が自身でFileMakerを使って、トライエラーで自社の業務改善や付加価値を高めるサービスを実現している事例をご紹介していきます。

次回に続く

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