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第十三回 継続的な成長を図る!取り組み事例紹介 

2018.11.07


今回はFileMakerを使って改革に取り組んだ企業の事例をご紹介いただく。(編集部)

 

業務を整理しビジネスのデータ構造を自身で捉え、継続的な成長を図る

 

(本文)
 ITコーディネータという立場から、成長を目指す中小企業がどのようにIT利活用に取り組むかのヒントを、FileMaker連載を通じてお伝えしてきました。

 長年いろいろな中小企業の基幹システムの改善やリプレイスに伴う課題解決の可視化、To-Be(あるべき)業務フロー作成、要件整理などの支援に携わってきましたが、会社全体の改善となると、大きなIT投資が伴います。経営者が描く戦略・ビジョンとその実現に向けた現場運用のステップアップとの両輪を見ながら最適なラインをどう描いていくかが勝負の分かれ目となります。

 数十人以上の企業であっても情報部門専任者を置くことは難しいのが現状です。
 経営者は、日常業務をこなしながらシステム構築に対応する現場担当者、そして依頼した開発会社と半年から1年という期間をかけて細かい仕様を詰めて実装してきます。社内コンセンサスを取りながら根気く進めていく作業ですから、残念ながら途中で頓挫してしまうことも少なくありません。

 今回は社内業務全体のシステム構築・導入をされたFileMaker事例をご紹介します。開発したシステムは、最終的に同様の課題を持っていたハワイウォーターの総輸入元にも採用され、今後他の代理店のシステムとしても採用される予定にまでなったとのことです。

その成功要因は何だったのかを事例を通して考えます。

 

<エコット Hawaii Water  湘南様 導入プロセス事例 :業種 ウォーターサーバ>
http://ecotto.net/
http://www.hawaiiwater-shonan.net/

■導入に至る背景
 個人や店舗に対して、電話・インターネット・定期配送など様々な形態でハワイウォーターを受注しお客様に配送するビジネスを展開するエコット湘南 (4拠点/全体120名)は、事業の成長に伴う顧客数の増加と商品を自社配送/回収のほか、自社店舗でボトルを持ち帰ることも可能などイレギュラーな対応も多く、拠点間の情報共有含め、内製によりつぎはぎで更新してきた社内システムと紙による属人的かつ非効率的な管理運用では今後更に拠点展開して行く上でも限界を感じておられました。
 業界のワークフローにフィットするパッケージのようなものも見当たりません。

■理想とするシステムを、手を動かしながら考える
 主担当者のecotto事業部 ecottoショールーム アドバイザー・吉良紀彦氏は、プログラム等の知識が無くても直感的に画面も作れるFileMakerの存在を知り、当初は現場で実際に自分達がイメージするシステムをFileMaker(データベース)で構築しようとしました。

ecotto事業部 ecottoショールーム アドバイザー・吉良紀彦氏

  
 結果的には、専門知識のないまま社内業務全体にわたるシステムをこのまま独自で無理やり作り込んでも前と同じシステムができてしまうと判断し、専門の開発会社を探すことなったわけですが、
 自社内で自ら手を動かし試行錯誤した経験は、導入後に非常に役に立つことになります。

■改善業務を整理し、目的と費用対効果を経営者と共に検討
 外部業者に依頼するには、企業として正式に予算立て(IT投資)を行う必要があります。吉良氏ら現場担当者は、改めて全ての業務と現状の課題を洗い出しプロセス改善により属人的かつ複雑な業務を一新させることにより、
 ・水の発注→入庫→受注→配送→在庫→請求→集計→返却までがワンストップでできること ・クラウド使用により4拠点間で最新データを常に共有できること
 ・それにより大幅な業務効率化が望めること
 ・ビジネスの状況の可視化による経営メリットを得られること
を経営者と共に検討・共有されました。

 

■自社ビジネスのの基本データ構造の持ち方への気づき
 業務システムの構築経験豊かな開発会社(株式会社ともクリエーションズ)も見つかり、本格的な構築がスタートしましたが、複雑に絡まるさまざまな業務パターンを実装するための詳細仕様を固める道のりは険しいものでした。
 配送の合間を見つけては開発会社に出向き、半年間で20回以上の打合せを行ったそうです。

 しかしある時、共に考え続けてくれた開発会社の社長さんから
「御社システムの肝となる顧客管理データベースは、「請求先」「配送先」「ウォーターサーバ種別」の3階層で全体の軸を考えましょう」と提案され、行き詰まっていた全てのフローが流れ始めたそうです。

 

 

 実運用が開始された現在、販売・宅配に関する内向きの業務は大幅に軽減、そして販売促進・顧客サービス向上の外向きのために動ける時間が増大しました。人手不足の中、誰でも業務がこなせる体制となり採用が楽になったことも大きな成果だと言われます。

 体感的には4倍の生産性向上を感じられているとのことです。

 世の中「ITを使えば魔法のように会社が変わる」というような風潮が流れています。
 しかしまだまだ、実際のIT改善は経営者が考える以上にとても泥臭いものです。今回の事例における成功要因は何でしょうか?

FileMakerを使ったからでしょうか?

違います。

 「3階層構造を軸にする」の言葉で全てのフローが流れることがイメージできたということは、
自分たちが使いたいシステム(IT基盤)を専門家の手を借りながらも業者任せにせず、自ら手を動かし考え抜き自分達で作り上げたことではないか。とお話を伺いながら思いました。

 経営資源の限られている中小企業がITを活用するには、目的がブレないよう業務を整理し、改善点の明確化と新たな業務フローを描くことは基本です。そして、そこから1歩踏み込んで、経営者または話の通じる人材を育成し、自社ビジネスのデータの構造を自身で捉えることが継続的な成長につながります。

 取材の際に、最新の顧客画面を拝見したところ、リリース当初は1つだったポータル部分に顧客からのクレーム(注意事項)、対応履歴など新たなタブ(ポータル)が加えられていました。

 基本運用して行く中で、もっと配送担当者と社内共有したほうが顧客満足度の向上を図れる情報を内製で追加されています。

 データの基本構造さえわかれば、自分たちで必要なところを簡単に付加していけることはFileMakerの特徴でもありますが、いまは他にも自分たちで設定・更新し育てて行けるサービスやツールもたくさん出ていますので、ツール選定時の考慮点の1つかと思います。

「また1年後にどんな風に変わっているかいらしてください」と笑顔で見送っていただきました。

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