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会社を続けるために、IoT/AIを理解しておこう

2017年 夏号 2017.08.16


事業継続の視点で、IoT/AIに着眼した企業

IoTやAIという「新しいIT」が毎日のように新聞雑誌に掲載されている。

IoTInternet or Things(モノのインターネット) これまでのITは人が端末を操作していたが、モノとモノがインターネットにつながることで、人が指示をしなくても自動的に動作が進む点に特徴がある。

AI(人工知能) 事前に人が条件設定を行わなくとも、コンピュータが自ら「学習」することによって、判断の一部を任せることができる。

これらの「新しいIT」は、中小企業に無縁のものではない。市場環境の変化として影響を受けるのはもちろん、自社で活用誌、これまで実現できなかったことを乗り超えるツールとして使える。

活用に踏み切る企業の着眼点

「企業は継続が大切。そのために変化し、改革を行っています」
IoT/AIに象徴される新しいITを取り入れ改革を進める宮城県・光電子の佐々木修社長と岡山県・ダイヤ工業の松尾正男社長は、ビジネス形態は違えども「継続」を意識した経営に共通項がある。そして、「継続するためには挑戦が必要」との姿勢が一貫している。

光電子は、製造機械の停止が生産計画の実現を妨げるとの課題意識から、IoTを使ってリアルタイムに機械の稼働把握ができる仕組みを構築した。データをもとに対策を講じ、生産性を上げようとしている。

光電子の製造機械稼働把握IoTシステム

光電子 事例紹介

ダイヤ工業では、顧客の購買履歴を徹底分析して最適商品を勧められるシステムにより売上を伸ばしている。さらに、AIを使ってコールセンターでの会話をもとに最適商品を提案する仕組みを構築する意向だ。同社は、自社製品の研究開発においてもAIの活用を検討している。

ダイヤ工業 事例紹介

会社を継続させる観点で外部環境を見ると、新しい技術は自然と視野に入り、生産性向上や労働人口減少への対応、新商品の開発に欠かせないものになってくるのだ。

今、直接適用分野がない業種も、競争環境や顧客の動きが変わるので、大きな変化として意識しておきたい。

IoT活用の観点を探る

まず考えたいのは、人手のかかる、人に負担がかかっている仕事を代替する用途である。
例えば“仕事場”が点在して見回りに時間がかかる業種は、IoTの活用で負担が軽減できる。

新潟県のそうえん農場では、水田にセンサーを設置し、水温や水の量を定期的に記録するシステムを活用。水の量が一定値を下回った田んぼから足を運べばよいので、毎日の見回り時間を大幅に削減することができる。
 →そうえん農場の事例詳細

さらに、宮城県のビック・ママは、経営する保育園ビックママランドにで、乳児の睡眠中の事故を防ぎ、保育士が安心して働ける環境づくりに、睡眠中の動きをカメラで把握し、動きが少なかったりうつぶせ寝になったらランプとメロディで知らせるシステムを構築した。
 →ビックママランドの事例詳細

こうした仕組みは働きやすい職場環境づくりにも貢献するはずだ。

人の操作が伴うが、無人飛行機「ドローン」も、人が近づけない場所で仕事を代替するツールとして期待されている。静岡では、スズメバチの駆除にドローンを活用する試みが進められている。

 →ドローンでスズメバチを退治 記事

人の役割定義と育成が次の課題に

このように、そこに人がいなくても、センサーやカメラによって状態をデータで把握できるシステムに条件に応じたアクションを定めておけば、かなりの部分を代替できる。
田んぼの水加減などは最終的に人の判断が伴うから、どこまでを機械に任せてどこを人がするか、その切り分けが重要になってくるだろう。

労働人口が減少する時代を迎え、限られた人員で最大の成果を上げる取り組みは不可避である。 さらに言えば、機械ができる作業は機械に任せ、人だからこそできる仕事に集中させることが求められる。

ただ、業務の細かいプロセスを知らなくても結果に早くたどり着ける仕組みは、人の中に経験やノウハウを蓄積しにくい懸念もある。肌感覚が弱く、データがないと何もできないとなれば「誤ったデータに使われる」危険も出てくる。

現場で得にくくなった「カン」や「コツ」を伝える新しい人材育成が必要になるかもしれない。

また、マーケティング分野では、画像で店内顧客の動きを分析する活用方法なども提案されているが、個人のプライバシーにかかわる分野では、慎重な議論が求められる。

「新しいIT」が導く圧倒的な効率化、便利な商品・サービスの提供は会社を継続させるカギとなる。
その進化の波に乗りながらも、手綱を握るのは「人」であることを忘れてはならない。

どのような社会を形成していくか─未来を選ぶのは私たち自身なのである。

(COMPASS編集部)


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